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【イベントレポート】11/2 森の晩餐in大鳥を終えて

紅葉は、緑一色で覆われていた山々が真っ赤なりんごのように色を変え、遠目から眺めるだけで心を落ち着かせてくれる…

 

11月2日。

最高の紅葉の見頃を迎え、秋の紅葉を目当てに朝から何台もの車が大鳥に止まる。

 

晴天に恵まれたその日、大鳥を舞台とした狩猟文化と、月山の採集文化を学ぶ、森の晩餐が始まりました。

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大鳥の朝日屋旅館にて秋の味覚が入った昼食を頂きました!

旅館朝日屋で昼食を食べたあと、スタッフ・参加者一行は皿淵へ…

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皿淵の麓に流れていた沢

大鳥地区から20分ほど車を走らせ泡滝ダムに向かう途中に、皿淵の麓にあるマタギ小屋。

毎年5月上旬になると大鳥のマタギたちは熊狩りを行う猟場の拠点としてここに腰を下ろします。

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赤くなった葉っぱを付ける木々に囲まれながら、現役の大鳥マタギ、佐藤義幸さんを先頭に登り始めました。

 

ザッ、ザッ、ザッ。

ブナ林に囲まれ、腐葉土の上に足場を見つめながらしっかりと、一歩ずつ歩いていきます。

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10分歩けば息が上がってしまうくらいの険しい山道…

傾斜30度はあったと思います。

 

休み休みでなければ中々足が前に向かない。

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少し足を休めて、顔を上げると、綺麗な木漏れ日がさしてきました。

 

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緑・オレンジ・赤・黄・茶色…

生い茂っていた木々の葉が、今年の役目を終えつつあるのを教えてくれているようです。

 

見晴らしの良い峰にたどり着き、庄内の秋の味覚、庄内柿を頬張りながらマタギのお話を聞かせてもらいました。

 

舞い方(まいかた)という役割について

見晴らしの良い峰に立ち、双眼鏡で熊を探し、熊の居場所を仲間に指示する大事な役割。

今ではトランシーバーが普及したため、仲間との連絡も安易になりましたが、そんなものが無い時代、手旗信号のようにして伝えていたそうです。

その姿が舞っているように見えることから、舞い方と言われているそうです。

 

県をまたぐほど広範囲に移動するのが熊ですが、冬眠の時は木の下などに巣を作って眠ります。

そして熊が冬眠から目覚める頃を狙って狩りにいくので、熊がいる場所は大体同じなんだとか…

 

ただし、舞い方は熊を絶対に見逃してはいけない。

熊を見て、人を見てを繰り返しながら指示をだしていくので、とても難しい役割。

 

どのくらいの時間、熊狩りをしているの?

丸一日かけていることもあるし、半日で勝負がつくこともある。

今年は午前中に勝負が付いて、午後に解体して山小屋に持って行って、夕方頃に帰れた。

残雪期の硬い雪の上を熊狩り用のアイゼンをつけて歩くので、歩きやすいそうです。

 

採った熊はどうするの?

革製品として:

昔は皮は敷革になめして製品にしたら高値で取引されていたが、今はほとんど価値はない。

毛並みのいいものだけを採って仲間で分けている。

食用として:

肉は貴重なタンパク源だった。今はスーパーとかで豚や牛が買えるのでそれほど価値は無くなったが、地元のお祭りでは熊肉を出している。

熊の手の吸盤は朝日地域あたりでは「かっぺら」と呼ばれ、ゼラチン質で美味しい。

内蔵は早く傷んでしまうので、狩猟したその日の夕飯で食べたりする。骨はスープのダシに使う。

薬として:

胆嚢(たんのう)は万病に効く薬として使われていた。

また、捌いた時に出る、熊の生き血が病気に効くとされ昔は集落まで担いで持って帰っていた。

熊の解体が始まる時は、よく人が集まっていたようです。

 

熊は何頭狩っていいか決まっている?

県が決めた有害駆除の割り当て分だけ。マタギのグループに一頭しか出ない時もある。

 

子連れ熊は採っていいの?

採ってはいけない決まりになっている。グループとしてではなく、県?の規則として。

 

狩猟するのは熊だけですか?

大鳥で狩猟期間に狩猟する種類は主にカモ・山鳥、ウサギ。有害駆除期間として熊を狩猟している。

 

熊を解体するときはナタを使うの?

ナイフを使う。ナタは骨を砕いたりするときに使う。

 

マタギ同士の交流はありますか?

マタギサミットが年に一回行われている。

そういう場でおしゃべりの交流はあるが、猟場に部外者を入れたりはしない。

大鳥にもマタギのグループが2つあるが、それぞれの猟場に入れることは無いし、人手が足りなくても借りたりすることも無い。

 

その他、マタギに関する文化や言い伝え
  • 熊狩りで山に入る前は、小屋近くにある大きなブナの御神木の前で儀式を行う。
  • 6人で入るとダメ 6人山は悪いと言われている(怪我をしやすいとか、雪崩にあったとか…)
  • 身内に不幸があった者はその一年、メンバーとして入れることが良くないと言われている
  • マタギの中で一番恐れられているのは熊ではなく、雪崩(なだれ)。
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ブナの御神木

お話の中で特に印象的だったのは、自然を限りなく具体で見ているということ。

 

山に入ってしまえば一括りに自然と言えてしまいますが、木や花、草のそれぞれに名前があるように、狩猟における場所においても沢の名前、峰の名前は勿論のこと、木々にまで”一本松”二本松”のように場所の名前をついています…

 

同じ山を見ていても、山への関わり方が違うと、見方も大きく変わると感じさせてもらいました。

 

昔は熊の毛皮や肉、万病に効くと言われている胆嚢(クマの胆)が高値で取引されていたのですが、今では時代背景が変わり、価値が薄れてしまっています。

生活に直結するお金に変えにくくなってしまった熊狩り…

更には高齢化が進み、狩猟者もかなり減ってきている状況。

 

それでも、佐藤義幸さんは

 

『マタギ文化を残していかなければいけないと思い、マタギをやってます 』

 

と…。

 

一言ではありましたが、熊狩りが単にレジャーとしての狩猟ではなく、マタギ文化が大鳥において深く意味を持ったモノであるということを認識してマタギをしていることが伝わってきました。

 

一般に熊狩りをする狩猟者のことをマタギと言われがちですが、狩猟だけでなく、春は山菜、秋はキノコなど、山に入る人のことをマタギと言われます。

山の中で生き続けていくために、山の恵を頂くのですが狩猟・採集はしてもしすぎないこと。

つまりは絶滅させるくらいまで狩猟をしたり、山菜を根こそぎ持っていくようなことはしないということ。

 

具体的にどのくらいの量を?というのは自然相手なので計るのは難しいかもしれません。

しかし、昔からそうやって生きてきた暮らしを、今も体現している地域であることには変わりないと思います。

 

そんな里山暮らしのカケラを、知って・感じて貰える素敵な機会だったのかと思います。

 

今回、企画した日知舎(ひじりしゃ)の成瀬さんを中心としたアトツギ編集室さん。

朝日屋旅館の若旦那、佐藤義幸さん。

10年ほど前に鶴岡から大鳥に移住し、マタギとして活躍中の青沢豊一さん。

月山頂上小屋の芳賀竹志さん。

そして遠くは東京から大鳥を訪ねてきた参加者の皆さん…

 

本当にありがとうございました。

 

大鳥には里山の原風景が広がっていますが、深い歴史や文化が今も息づく地域です。

 

また大鳥にいらしたときは、是非地元の人とお話をしてみて下さい。

今回のツアーで僕が自然に対する違う見方を発見したように、大鳥や里山に対しても違う見方が発見出来るかもしれませんよ。

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